いつだって相棒との別れは寂しいものだ。
愛着のあるバイクだったからこそ、ベストな送り出しのために最後にオーナーとしてやるべき事がある。
まず向かった先は、YAMAHAオートバイの正規販売店・プレジャーメイト(元YSP相模原)。
バイクを自分で弄る派の僕は、こちらで純正部品をちょくちょく注文させてもらっていたのだけれど、こちらのオヤジさんはセローの専門書(SEROW Files)に載るほどのセローマスター。こちらで車両を買った客でもないのに、整備やライティングのアドバイスを沢山頂いていたのだ。
今回、セローを手放すので挨拶に来たと告げると、一瞬驚きと寂しそうな表情をしながらも「仲間のところへ行くなら寂しくないですね、良かった」と言ってくれた。
閉店時間を過ぎても缶コーヒー片手にバイク談議を楽しんだオヤジさんとの時間も、セローが僕にくれた宝物のひとつ。これからはヤマハ純正部品を注文することはないけれど、ジョルノ用の2ストオイルをちょくちょく買いに来ると告げて帰路についた。
さて、帰宅したセローは早速次の作業が待っている。まだエンジンが冷えないうちにジャッキで車体を直立させて最後のオイル交換だ。
1年前から使い始めた純正指定オイルのヤマルーブスポーツ(10W-40)はなかなかのフィーリングで、もっと早く入れときゃ良かったと唸るほど。今回はオイルフィルターも交換して新しい旅立ちの背中を押す。
そして、ガリガリに傷がついていた左側のパニアケースを新品(スペア)に交換した。これは以前傾斜のついた富士山麓駐車場に止めていた時に車体が前に動いてしまい、サイドスタンドが払われて左側に転倒してしまった時があったのだが、今となってはいい思い出かな。
さあ、時は満ちた。
大好きだったセローへ。
今まで沢山の思い出を本当にありがとう。
そのタフな走りとフォルムで、新しい旅へ。
(Fin)