何とかパワービームが無事に着いたということで、近所の片側2車線の国道へテスト走行に出撃!

そこに至るまでの路地を軽く右左折すると、なんか運転感覚がちょっと違うような…いやいや、まだ気のせいかもしれない。そこで、セロー250のフレームのたわみを体感しやすい動作として有名なレーンチェンジをしてみました。

ウインカーをつけて車体をヒョイと傾け始めると…おぉ、少しずっしり感じるけどこれは明らかにソリッドな操りやすさだ!曲がりたい意思がフレームのたわみにフニャフニャ吸収されずに、手足が直接路面を捉えるかのような気持ち良さ。法定速度でレーンチェンジしただけでこれだけ体感できるなら、高速走行だとどうなるんだろう?

そう思うやいなや、首都高神奈川線に飛び込むとシフトダウンしてフルスロットル開始。

「確かネットの評判ではパフォーマンスダンパーの効果は高速走行が一番体感でき…あ、やばいエンジンがレブってる」

慌てて5速へシフトアップしたと同時に、それまでシフトアップの合図にしていた高回転域のビリビリというエンジン振動がほとんど無くなっていたことに気付きました。これは振動を減衰させてしまうPBのダンパーの効果によるもので、もしフレーム間を直結するブレースだったらこうはいかなかったでしょう。

そして、いよいよ100km/h巡航へ。

それまでは路面のギャップや繋ぎ目を踏むたびに「ぼよよん」と車体が振られたり、スピードが3桁に達するとフワフワとした接地感のない挙動をドキドキしながら抑え込んで走っていました。「サスが柔らかいオフ車だからしょうがない」と無理矢理納得していたのですが、今回その挙動が見事に消えていてびっくり!まるでスポーツバイクのような、オンザレールなハンドリングに変貌を遂げていました。

そして、ギャップを踏んでも「ストン」と上品に収束させてしまうほど剛性感が上がっているのに、ガツンという衝撃やビリビリした振動は突き上げてこないという不思議さ。これぞまさに、剛性と柔軟性のスイートスポットを体現したパフォーマンスダンパーの本質そのものと言えるでしょう。

セロー250の本来のコンセプトは、誰にでも扱えるフレンドリーなマウンテントレールマシンです。極低回転で粘るエンジン、オフ車としては驚異的に低いシート高、そして衝撃をいなす為にたわみ量を大きくとったフレーム。それらの特徴は、特に車体をコントロールする経験値の少ない初心者ライダーを大きく助けてくれるものですが、自分の意志でもっと積極的に操ることに快感を見出すライダーにはパフォーマンスダンパー(パワービーム)はうってつけのスペシャルアイテムだと思いました。

新品での実売価格は3万円を超える上、装着した効果のイメージが湧きにくいため心理的な敷居は否めません。サイズが小振りな上にあまりにも簡単に着いてしまうため、フレーム全体を激変させるほどのアイテムに見えないからです。しかし「フレーム剛性を大幅に見直した新型セロー、お値段は従来の3万円高!」ときたら、今までフニャフニャフレームに悩まされてきたセローオーナーは決してボッタクリ価格とは思わないはず。それほど乗り味がガラッと変化するパーツであると同時に、4輪(クルマ)にも着けてみたくなるほど更に興味が湧いてきたほどです。

オフ車のくせに、路上での走りが予想外に楽しくなってしまったため、いつかオンロードタイヤを履いたXT250Xのホイールセットを用意したいと考え始めています。