ハーレー等に搭載されているOHVエンジンのシリンダーサイドについている棒をプッシュロッドといいます。

これはOHVエンジン独特の駆動機構なのですが、国産アメリカンバイクは殆どがSOHCエンジンを搭載しているので、もちろんプッシュロッドもついていません。

しかしハーレーのようなプッシュロッド付の存在感のあるエンジンに憧れている国産アメリカンオーナーも少なくないようで、カスタムパーツとして『プッシュロッドカバー』というものも市販されています。これは文字通り国産アメリカンのSOHCエンジンにダミーのプッシュロッドを着けるパーツで、エンジン周りの雰囲気をがらりと一変させることができます。

あぁ欲しい・・・SPITFIREもOHVエンジン搭載機みたいにしてみたい。
・・・じゃぁ自分で安く作ってみようじゃん!

さーて、どんな材料が必要なのかな?

そう思った僕は、まずプッシュロッドの部分である棒を探しに街へと繰り出しました。
行き先は100円SHOPのザ・ダイソーの金属コーナー。

そこでこんなモノを発見!

「大型ハンバーグ用フォーク」

なんですかこの商品名は・・・

大型自動二輪や大型で強い台風ならまだしも、大型ハンバーグなんて初めて聞いた料理です。
クックパッドで検索してもHITゼロ件なんですが、それ用のフォークなんて客層絞りすぎだろダイソー

まぁくだらんツッコミはさておき、もう1つの材料を買うとしましょう。

プッシュロッドを付けた場合、棒の部分がエンジンをより外側に張り出します。
棒のエンジンヘッドへの取付部が丸見えでカッコワリィ状態になってしまいます。
そこでそれを覆うピカピカのカバーを買いに、ホームセンターの水道用品売り場へGo!

ここで買ったものはこんなもの。

水まわり用ステンレス製化粧カバー

写真では解りにくいですが、とてつもなくピカピカの薄い板です。
これを後に好きな形にカットします。

それと各種ボルト・ナット・ワッシャー(M6)、あとはステンレス製の小型汎用ステーも買い物カゴに放り込みましょう。

あとこんなもん。これは手すり用の棒を固定するもの。

さて材料も揃ったコトだし、いよいよ製作だ!
まず手始めに・・おい。オマエ!大型ハンバーグ用フォーク!
ちょっとこっち来い。今から貴様を斬ってやる。

フォーク:「ひー助けてー!止めてー!」

オイこの野郎!じたばたすんじゃねぇ!
せめてもの情けだ。痛みを感じないように一瞬で終わらせてやる。

「ギャァァァァ!!!!!!!」

床に転がったフォークの亡骸。
すまん、フォーク。お前はエンジンの一部となって生き続けるのだ。
お前の死は決して無駄にはしない・・・・!

さて、もうお解りだと思いますが、フォークの柄の部分がプッシュロッドの棒の部分になります。
これを4セット作り、今度はステンレス製ステーを写真の様にL型に加工します。
※加工の際切り落としたステー(I型ステー)は後ほど使うのでとっておきましょう

さて、このL型ステーをどこにどうやって使うのか?

DragStarの燃料タンクを外し、エンジンヘッドカバーに画像の通りにL型ステーをかませます。

こんなの付けてどうするかというと・・・

さっきフォークを加工して作ったプッシュロッドをボルトで着けます。

プッシュロッドとの干渉対策として、エアークリーナーを少しだけ外側にオフセットする必要があります。
エアクリナとエアクリ取り付けステーとの間に10mm厚ほどのスペーサーをかませ、オフセットしましょう。

次はプッシュロッドの下側を固定します。

このようにして2本のプッシュロッドをI型ステーに共締めします。

I型ステーの反対側はクランクケースカバーを留めている6角ボルトに共締めします。

よくわかんねぇよ!という方の為に、拡大画像↓

ここ、ステーが丸見えで何だかショボイですねぇ。そこで登場するのが手すり固定用の留め具。
プッシュロッド下部をこんなふうにカバーしちゃいましょう。

付けられたかな?そろそろカッコイイカンジになってきたんでない?

「うーんイマイチだなぁ」というアナタ、その通り、大正解です。
だってプッシュロッドをエンジンヘッド付近に付けたところが丸見えだもん。

ここで登場するのはさっき買った水道用品のステンレス化粧板。
ダミープッシュロッド上部を隠す、ダミーエンジンヘッドカバーを作りましょう。

ステンレスの化粧板から立体形状のダミーエンジンヘッドカバーを作るには、まずステン板に展開図をけがきます。
想像力を駆使して、好きなエンジンヘッドをデザインしよう!
※青い表面保護皮膜がついていますが、これは最後にはがします。

これは僕が作った際の寸法です。
せっかく自由に作れるので、DS4エンジンに着くギリギリの大きさのダミーエンジンヘッドカバーを作ることにします。
(赤線は切取線、黄色の破線は山折線、数値単位はミリメートル)

忘れずに2つ作ったら、工業用はさみ(?)でジョキジョキカットしましょう。

カット終了の図。

これをさっきの展開図を参考に折り曲げます。

ただし!素手で折り曲げるのは止めましょう。
仕上がりにムラができ、表面がグニャグニャになってしまいます。

下写真のように折り曲げる事をおすすめします。

2枚の硬い板に挟んで折り曲げると、曲げ線が綺麗です。

そんなこんなで折り曲げ終了!!

ゴクリ・・・だんだんそれらしきものに近づいてきた気がしないでもないぜ・・!
あぁ、早く青い皮膜をとりたい!ピカピカなボディを見せてくれ!!

しかし我慢、まだ取っては駄目です。
これをプッシュロッド上部に取り付ける穴を開けなければならないからです。

穴開けにはボール盤かハンドドリルを使いましょう。
また、写真のように下に平らな板を敷きながら開けると、加工圧力によるステン板の歪みを抑える事ができます。

ギュイィィィーーーーン!!!!

ダミーエンジンヘッドカバー固定用穴は2つあけます。
穴の間隔は、実際に測って決めてください。

ここでようやく青のベール(皮膜)を剥ぐ事ができます。

ピ、ピカピカだ・・・・

ここまできたアナタ、もう少し、あと少しです。
あっ、「もう疲れた」なんてまだ言わないでっ!
ブラウザの×ボタンはまだ押さないでっ!!

ダミーエンジンヘッドカバーは見た目が命です。
一目でダミーだと判らないように、高級感(笑)を出しましょう。

ステン板をはさみ(?)でカットしたフチの部分は、どうしてもバリが出てしまいます。
そんなところには、車のドレスアップ用品である「メッキモール」を貼り付ければ隠れていい感じに。

そして、先にシリンダー横に着けたプッシュロッド上端にボルトで着ければ完成。今日からキミもOHVだ!

さらにHDのOHVエンジンっぽくしたい人は、プッシュロッド同士の間隔を狭くしてみましょう。

ダミーエンジンヘッドカバーの裏でダミ-プッシュロッドを汎用ステーでこのように固定し・・・

裏返せばこんな形に。

エンジンに着けなおして完成!



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