ジョルノ ボアアップ⑨

ドライブベルトを新調して、ウエイトローラーも軽いものに交換したボアアップジョルノ ちゃん。プーリーカバーを取り付けている間にもテスト走行へのへの期待が高まります。

思えば春頃にクランクサイドベアリングの破損で不動になってから長かった…あの時は廃車にしてしまおうかと思ったけど、手間暇かけて直してる間に愛着が湧いてお別れできなくなっちゃったわけで。

おそらくもう二度と発売されない、軽量でパワフルな2ストローク原付スクーター。バイクにさえ電動化の波が訪れている昨今、4ストFi原付でさえ虫の息なのに2ストキャブ原付なんてまさに絶滅危惧種で、もはや電車に混じってSLが走るようなものです。

まるで芝刈り機のような「ブベベベベベ」というエンジン音と、ほのかなマフラーからの白い排煙。そしてキックボードのような軽快な取り回しに、パンチの効いたダッシュ力が魅力の2スト原付は、手頃かつ豊富なカスタマイズパーツで更に化けるという中毒性の高いおもちゃだったそうな。

クラシックベスパのような可愛らしいボディの奥にブチ込んだチューンドZXエンジン。速さとは一見無縁の女子向け街乗りスクーターなこいつは、一体どんなポテンシャルを隠し持っているのだろう。

キックペダルを踏み込むと2~3発で難なくエンジンが掛かり、5分ほどアイドリングで暖機をした後にいよいよ発進!

うげっ、速ェェエ工!

50ccの頃の5.5g × 6個ウエイトローラーのダッシュ力が忘られなかったので、今回は7g(ドクタープーリー) × 6個にしてみたけど、毎度シグナルダッシュしないならもう少し重くて良かったかな。マフラーからはバリバリという今まで聞いたことのない破裂音が聞こえてきたので、おそらくマフラーの中に溜まったガソリンオイルが爆発してるのかも。このジョルノの見た目でこの速さ、というよりえげつない加速が実にシュールで笑いが止まらんw

そしてそのまま加速していくと、30km/hを超えたあたりで回転数がひと段階下がりながらも50km/h過ぎまで一気にスピードメーターの針を押し上げていきます。原付スクーターはハイスピードプーリーの変速範囲上限であるこのスピードまでがエンジンの一番おいしい回転数を使えるスイートスポットと言われますが、ドライブベルトを高速側に変速しきったジョルノは今度はエンジン回転だけで更に高速域へ。

スピードメーターの針が最後の目盛りである60km/hを超えてもなお勢いは衰えず、そして針は右下を差し…遂にはメーター周囲のリムに隠れて見えなくなっちゃいました。こりや85km/hオーバーかな、ここは緩やかとはいえ登り坂だぞwww

何よりも、この速度は頑張って必死に出したというよりいつの間にか出ていたというのが一番の驚きでした。同じ2ストスクーターでもスズキのアドレスV100みたいな感覚でしょうか。見た目はトロそうなジョルノなのでDQN小僧に盗まれることもなく、たまに無理矢理被せてきたり煽ってくるDQN車は一気にぶっちぎりレーシングして遊べるという、ちょっとした「羊の皮を被った狼」に仕上がったのが嬉しいところです。

そんなこんなで、チューンドジョルノで快調に走っていたある日のこと。この日もエアスクリューのセッティング後の最高速アタックを楽しみ、帰路につくところでした。交差点を右折しながら順調に加速し、プーリーの変速域である50km/hを超えたその瞬間…!!

不意に回転数が下がり、トルクがフッと抜け…

「ズドン!!!!」

シートの真下からの衝撃と共に突然の失速!

(つづく)