クランクサイドベアリング交換のためにエンジン全バラ作業をしていたジョルノちゃんですが、華麗に蘇るどころか見事にぶっ殺してしまったという予想外の展開に…
このクランクシャフト折れが発生した原因は、偏心していたシャフトをハンマーでガンガン叩いたことであるのは明らか。では、クランクシャフトはなぜ偏心していたのか?
今までの作業を振り返ってみると、心当たりのあるシーンが2つほど思い浮かびました(涙)
その①:クランクサイドベアリングの打ち込み時
クランクサイドベアリングを上図のオレンジの矢印の方向にガンガン打ち込んだ時、赤線のように歪んで偏心した可能性。
その②:クランクシャフトのケースへの圧入時
シャフトの端っこを軸方向に押した時、さらに偏心が進んだ可能性
…何やってんだ俺orz
クランクシャフトはその名の通りクランク状の軸なので、回転中心に何もない部分が存在します。そりゃ普通の真っ直ぐなシャフトの感覚で両端から圧力を掛けたら歪むわな~アハアハアハハ~(馬鹿)
タイムマシンで過去に戻って、助走をつけて自分をぶん殴りに行きたいぜ!
というわけで…
中古の純正クランクシャフト(良品)を調達。
いっそのことKN企画製のロングストロークタイプをブチ込んでやろうかとも考えましたが、数ccしか排気量upしない割に数万円するのでやめときました(レースするなら有りかも)。
もちろんクランクサイドベアリングとオイルシールも新品を調達。
前回の痛い失敗を教訓に、ベアリング圧入方法を変えます。クランクシャフトへのベアリング圧入は歪みの原因になるため、まずはクランクケース側へベアリングを圧入させる方法へ変更。熱膨張させてクリアランスを拡げるため、クランクケース側をガスバーナーで炙ります。
次に、冷凍庫でキンキンに冷やして縮めたベアリングを素早く嵌めます。CRC5-56を塗布しておくと比較的ラクに嵌りますが、最後まで嵌りきらないところは銅棒とハンマーでコンコンと叩き込んでやればOK。
こんな感じでクランクケース左右にベアリングが嵌りました。エンジン組み上げ中はオイル等を拭き取った状態のため、組み上げ後の最初の始動はドライスタートになるため、念のためベアリング可動部にモリブデングリスをたっぷり塗っておきましょう。
ベアリングを圧入した片側のクランクケースにクランクシャフトを入れていきます。今度はこのベアリング内側とシャフト外側を圧入させるのですが、反対側のシャフト端面をぐいぐい押し込むと例のごとく歪んでしまうため、ケース外側からシャフトを引っ張ります。
シャフトをクランクケース外側から引っ張るには「クランクシャフトインストーラー」という特殊工具が必要。でもそんな数千円の工具なんて持ってないので、ホムセンの水道管コーナーで調達した継手(塩ビ製)とワッシャーで代用します。お値段400円代w
水道管の継手とワッシャー をスペーサーとして嵌めておき、シャフト先端に取り付けたナットを締め上げ、クランクシャフト全体を外側へ引っ張ることでベアリングと圧入させるメカニズムです。
ナットを締め上げると、クランクシャフト全体がゆっくりじわじわと引き込まれていきます。反対側からぐいぐい押してるわけではないので、この方法ならクランク形状部がまったく歪みません。
はー…最初からこうすりゃ良かったぜ。
クランクシャフトがクランクケース中央の合わせ面付近まで引き込まれたので、どうやら最後までベアリングに圧入されたようです。
続いて、反対側のクランクケース(ベアリング圧入済)の合わせ面に液体ガスケットをたっぷり塗ります。
そしてクランクケースを仮嵌めし、こちらからもシャフトを外側からナットを締め上げて引っ張ります。水道管の継手はスペーサーとしては長過ぎて使えなかったため、古いベアリングとワッシャーを使いました。
左右クランクケースが合体するまでシャフトを引っ張ったら、ケース合わせボルトを規定トルクで締結します。
最後にクランクシャフトがケース中央に位置するようシャフトを左右から引っ張り調整して、やっとクランクケース(エンジン腰下)完成!
この状態でクランクシャフトを偏心なく綺麗に回ることを確認して、クランクケースのシャフト出口穴(左右)にオイルシールを嵌め込みますが、これは次回に持ち越しです。
作業の峠は越えたけど、こだわりの復活作業はまだまだ続く!
自分もジョルノ 2スト af24のってまして、とりあえず組み上がり、走行可能になりました、排気量アップを考えてます。 そちらのエンジンはzxのエンジンにデッドストック のデイトナのボアアップキットをインストールした感じでしょうか? 自分も見た目は変えず、80キロくらいは出る車両にしたいのですがアドバイスいただけますでしょうか?よろしくお願い致します。
hiroさん、コメント有難うございます。
エンジンについてはまさにその通りで、ドノーマルの見た目で80km/h出るジョルノに仕上げています。過去にKJT製の78cc(アルミシリンダー)を3回焼いて懲りたので、今回デイトナ製の71.8cc(鉄シリンダー)にして分離給油で2,000kmぐらい走りましたが快調です。今はデイトナ製は入手困難ですが、KN企画製も高評価のようです。
ちなみに諸説ありますが、71.8ccあたりが冷却の限界と聞いたことがあります。一応AF35ZXキャブやオイルポンプ増量加工、強化冷却ファンで武装したつもりですが、それ以上いくならエンジン焼かないために社外ビッグキャブや分離給油は必須な気がします。
初代ジョルノは2ストディオのかっ飛び系パーツが多数流用できるので、まだ手に入るうちに遊び尽くしましょう!クランクシャフトが細軸(Φ12mm)の場合、もしボッキリ折れたら太軸(Φ14mm)のAF27/AF28エンジンに載せ替えるのもお勧めです。