かつては空の旅の花形で、飛行機好きでなくてもみんな知っていたジャンボジェット機(ボーイング747)に生産中止の可能性が出てきました。


ボーイング747は1960年代に第一世代が登場しました。元々軍用機向けの設計を転用したその機体は、まるで象のような鈍重な印象が当時揶揄され、ラテン語で大きな象を意味する「ジャンボ」というあだ名が着いたとのこと。しかし、類い稀な高速性とその大容量キャパシティによる座席単価の引き下げが可能になり、庶民に空の旅を身近なものにした旅客機界の革命児となりました。その後も時代と共に性能がブラッシュアップされ、1980年代にはハイテク化された第二世代、そして2000年代には環境性能を高めた現行型の第三世代が登場。実に50年以上にわたりキング・オブ・旅客機として君臨してきました。

そんなB747の栄光に陰りが出はじめたのが1990年代。元々4発(エンジン4機搭載)のB747でしたが、ほぼ同等のキャパシティを持ちながら双発(エンジン2機)のB777が登場。圧倒的な低コスト・低燃費のB777は、その後のNY同時多発テロを発端とする航空不況の中で収益を死守しようとする世界中の大手航空会社の引っ張りだこになり、経年化が進む第一・第二世代多くのB747が引導を渡されるきっかけになったのです。

その後第三世代がデビューしたものの売れ行きは芳しいとはいえない状況で、最近は受注そのものが無いとのこと。

同じような大型4発機のライバルといえば、さらに大型のエアバスA380がありますが、こちらも受注がほぼなく生産中止が検討されているほどのありさま。こちらは旧型を部分的に発展させた第三世代のB747と違い、まったくのゼロからの設計なのでそのコストを回収しきれないまま終わるかもしれません。
一方、ボーイング社で売れている機体は大型機のB777、中型機のB787、小型機のB737。エアバス社では大型のA350、小型機のA320。どれも似たような形をした双発機。

しかし双発機の他にも4発機、3発機、T字尾翼機、ターボプロップ(プロペラ)機などが入り混じっていたバラエティ豊かな90年代の羽田を知っているおっさんとしては、今の空港はちょっと寂しいものがありますね。

ってなわけで、とりあえずこれをはよ旅客機に。