さて、今回めでたく逮捕されたオッサン。
スカッとしたのも束の間、ネットで集めたにわか知識によれば最低でも1週間近く拘留されるものと思ってたのに翌日に釈放…
立ち小便や自転車泥棒じゃないんだぞ。
これは一体どういう事だ?
「いや…これは検察官の判断で、相手は反省しているし逃亡の恐れが無いとの事で決まったそうです」
副担当の刑事に詳しく話を聞けば、逮捕後の勾留期間は警察ではなく検察によって決められるとのこと。犯人が悪質でなければいったん釈放され、1〜2ヶ月後に在宅起訴→刑事&民事裁判になるという。
というが…ちょ、待て。
悪質でないとか寝ぼけた事抜かさんでくれ。だいたい悪い奴だから逮捕されたのに検察の頭はハッピーセットかよ。
しかも相手は人間的に破綻してる奴だし、一度逮捕されたことを根に持っているかもしれない。今後駅で出くわしたら仕返ししてくる可能性もあるし、最悪自宅や職場まで後をつけてくる事も(ここまで考えちゃうのがA型)。
だいたい何を根拠に奴が反省してると言えるんだ?信用できる要素が1つも見当たらないのに。
僕はイラっとしながら副担当刑事に疑問をぶつけてみた。
「まぁ…酒を飲んでたりすればああいう行動に出る事もあり得ますし…」
いや、どんな理由があろうとも他人を殴…
…ん?今なんて言った?
「あぁ、あの男は相当酒に酔っていたんです」
酒に酔っていただと⁉︎
更に、ここで驚きの事実が判明した。
あの日、相手の男は夜通し酒を飲み続けていたという。しかし、やがて朝が訪れて出勤時間が迫る中、男は睡眠をとる事なく大慌てで家を出た。酩酊状態の男は駅の改札を通り抜けた末に今回の騒動を引き起こしたらしいが…あの時奴はフラフラしてなかったし、全然酒臭くなかったぞ。
「相手の男の呼気でアルコール濃度を調べたら、酒気帯び運転とされる基準値の4〜5倍が検出されたんです」
それは…確かに完全にアウトだ。
なるほど、奴の一連の後先考えない破滅的な行動は泥酔によるものだと考えれば一応合点がいく。そしてあの取調べの日、最初は冗舌に喋っていた男もアルコールが抜けてくると、徐々に頭をうなだれて後悔し始めたという。
まぁ、結局それがどうしたという感じである。
酒のせいなら何しても許されるはずがない。
大人なら自分のやらかした事のけじめはつけてもらわないと。
だいたい僕は、昔から何かと泥酔した奴による憂き目に遭う事が多い。中学生の時にはスタジアムでプロ野球観戦中に後ろの泥酔サラリーマンに頭からビールをどばどば掛けられ、同行していた社会人の先輩が叱り飛ばしてくれた。大学生の時には夜中に親の車をボコボコに蹴ってる酔っぱらいを取り押さえて警察に突き出した。
今回の事以外にも酔客に絡まれたとかゲロを踏んじまったとか小さな事を挙げればきりがないけど、未だに残る「酔ってたから仕方ない」という風潮は正直冗談じゃないと思う。好き勝手に泥酔した奴がやらかした不始末を、どうしてまともに過ごしていた人間が黙って被らなければならないのか。
酔ってふっかけた喧嘩を武勇伝として語る人よ、理不尽に凄まれた側はいつまでも忘れていない。吐くほど飲んだ事を笑い話にする人よ、ホームに吐いたそのゲロは関係ない人間が掃除している。批判を恐れずにはっきり言うと、泥酔した人間は運転はおろか公共交通機関にも、いや公共の場に出てきてはいけないと思う。他人のため、自分のためにも。それが嫌なら外で泥酔するほど飲まなければいいだけの簡単な話だ。
今、僕は相手の男の弁護士と示談交渉に入っている。相手にとってのメリットは示談が成立することで不起訴になる可能性が高く、前科がつかないということ。そして僕にとってのメリットは…
とりあえず、メガネと病院代プラスアルファが確実に返ってくるということかな。
(おしまい)