なにかとデリケートな慣らし運転に備えて、ウエイトローラーを重くして高回転域を封印したジョルノちゃん。
しかし、ただでさえエンジンが冷えにくい構造のスクーターを5割近くも排気量アップしているわけです。ましてやウエイトローラーの変更は一時的に変速特性を変えるのが目的で、いずれ慣らし期間が終われば高回転域を解放するために元に戻す予定。つまり、エンジン熱量増大への根本的な対策はまったく別の話です。
というわけで…
KM企画(KOSO製)の強化クーリングファンの登場です。
エンジンに走行風の当たりにくいスクーターは、空冷エンジンを冷やすためにクランク軸に直接装着されたクーリングファンで風を強制的に当てる構造ですが、社外品のクーリングファンには純正品よりもやたらと軽くしたものと風量をアップさせたものの2種類に大別されます。
このKN企画製クーリングファンは風量アップする形状になっているだけでなく、重量も24%ほど軽くされているスグレモノ。つまり、冷却性能を強化するだけでなくエンジンレスポンスもアップするというなかなかのものです。ファンの直径は純正品より大きくなり、シュラウドカバーを着けるとホントにギリギリですが効果に期待しちゃいます。
続いて、ボアアップする前から着けていたスパークプラグの焼け具合をチェック。熱価は既に6→8に上げています。
キャブセッティングはドノーマルがPJ:#35、MJ:#75に対して、PJ:#45、MJ:#90と相当な濃いめの番手で走らせていたにもかかわらず焼け具合はいい感じのキツネ色です。
50ccのくせに下手なボアアップよりも濃くしてたはずなんですが…ん~、AF18ディオのエアクリーナーってそんなに吸いまくるんかなぁ。
まぁごちゃごちゃ考えてもプラグの焼け具合は正常なんだし、今回ぐっと排気量が増えたのでもっと天下一品のラーメン並にドロッドロに濃くしちゃうぜ!
キャブセッティングはまず濃い番手から始めて徐々に薄くしていくのがセオリーなので、まずは手持ちのPOSHのジェットセットの最大番手であるPJ:#48、MJ:#110をブチ込んでみます。ここまで来るともはや直キャブファンネルやチャンバー装着車とかの準レース仕様並のセッティングですが、もし濃すぎても焼き付く事はないのでボアアップ祭りの余興みたいなもんです。
最後にヤマハの最高級2ストロークオイル・スーパーRSをオイルタンクにブチ込み、外装を元に戻していよいよ準備OK!
祈るような気持ちでキックペダルを踏み込むと、「ブボッ…ブボボッ!ブッベベベベベベべ!!!」と2ストらしい排気音をあっさり奏で始めてひと安心。5分ほどアイドリングさせて適度に暖機が終わったところで、ゆっくりスロットルを捻ります。
スムーズにクラッチミートし、スルスルと進み始めるジョルノちゃん。半ヘル越しに聞こえるエンジン音に全神経を集中させながらスピードを上げていくも、まったく異音がないどころか50ccの時よりも微振動がぐっと減ってシルキーなエンジンフィールになってしまってびっくり。激しく上下運動するピストンは重くなったはずなのに、この嬉しい誤算でニヤニヤが止まりませんw まぁアイドリングの振動は増えてるし、おそらくエンジンバランスの変化に伴って共振回転数がずれただけなんだろうけど。
そして30km/hを超えたあたりで変速域に入り、以前より低いエンジン回転数をキープしたまま慣らし運転の上限である50km/hまでスピードが乗っていきます。ハーフスロットル以下で走らせてることもありますが、今のところはエンジンがまったくボコつかずにスムーズに動き、重くしたウエイトローラーセッティングも功を奏して実にいい感じです。
しかし、それも長くは続きませんでした。
やがて長い登り坂に差し掛かり、更にスロットルを開け始めた途端、「ブボボッ!ブブブブブブ…」とエンストしそうな勢いで一気に落ち込むエンジン回転数。たちまちスピードは20km/hを割ってしまい、道路の左側に寄って後続車をやり過ごします。
「やはりMJの#110は濃すぎたか…」
そう思ってスロットルを戻し始めた途端、元気よく再加速し始めるジョルノ。待てよ…PJの#48も相当濃いはずなのに、これは一体どういう事だ?
(つづく)