ある日の事だった。
僕は友人キョウヤと電話で相変わらずヴァカ な会話をしていた。その中で、僕が最近旧道・廃道にハマッていることを切り出した。
僕:「知ってるか?実はだな、東京の青梅市の吹上トンネルに霊・・・
キョウヤ:「それ行くぞ!Go!!」
僕:「・・・・(最後まで言わせろや)」
んで当日。
彼の家に到着すると、既にピカピカに磨かれた彼の愛機"WildHeart"(ビラーゴ250)が臨戦態勢に入っていた。
さすがメッキ野郎。いつか
「俺はクロームメッキの家に住むんだ」
と豪語していただけの事はある。
さて、彼の家のドアを開ける。
そこで待っていたものは・・・
一体何をやってるんだ!?誰かこいつを止めてくれ!
「夜勤明けにはこれだ!愛情一本チオビタドリンクだぜ!!」
だからって1ダース用意する事無いだろ…
さぁ、いつまでもアホやってないで出発だ!
しかーし、フェーン現象の影響でこの日の東京は34.7℃という暑さ。
しかも更にこの渋滞。
もうまったくもって動きません。歩いた方がずっと速い有様。
10分経過しても7メートルしか進まないので、ここで奥の手を発動。
「裏道行こうぜ!!」
東京7不思議・侵入禁止の怪でございます。
そうこうしているうちに、いつの間にかランチタイムが迫っていました。
腹も減ったので吉野家を探そうとしますが、
「牛丼?ダメダメ!!話になんねーな、このビーフ脳が!」
何!?意外にもこいつ牛丼が嫌いだったのか・・・
「それよりあれ見ろ、マッダァーナァーズだ」
(マクドナルドの事かよ・・・なんでネイティブ発音)
とりあえず到着。時間もないのでテキトーにセットを頼みます。
10分後。なぜか手刀でフィレオフィッシュを食うキョウヤ
(無駄なシーンなので以後の詳細はカットしております)
腹ごしらえも終え、いよいよ本気で吹上トンネルへ行くぜ!
そして・・・到着!
さて、ここでこの吹上トンネルについて記すとしましょう。
東京・青梅市の成木街道には「吹上峠」という峠があります。
そこに成木街道を貫通させているの「新吹上トンネル」という写真の現役のトンネル。開通したのが平成5年である事から別名「平成吹上トンネル」とも呼ばれています。
さて、その名からわかるように、このトンネルには先代が存在します。
それが「吹上トンネル」。開通が昭和33年(1958年)なので、別名「昭和吹上トンネル」と言われ、位置的には平成吹上トンネルと平行に走っていますが、こちらの方が高い標高を貫通しています。
写真で言えば、右側に残っている廃道が昭和吹上トンネルへ向かう道。
平成吹上トンネルの開通と共に使われなくなりました。
それではさっそく昭和吹上トンネルへ向かいましょうぞ!
廃道。立派な街道として栄えていた道路も、人の手を離れればこの通り。まさに荒れ放題で自然に還りつつあります。
そして、遂に昭和吹上トンネルが現れました。
・・・・なかなか不気味。奥の方なんてどう考えても何か出そう。
しかも照明が現代のトンネルと違って1列しかなく、明らかに照度が足りていません。
幅も狭く、果たして大型車同士がすれ違う事ができたのか?
もちろん歩道もなく、歩行者をまったく無視した昭和初期の造りです。
いや、それよりも・・・
廃トンネルなのになんで照明ついてんだ!?
昭和吹上トンネルのプレート。
『隧道』とはトンネルという意味で、昔の表現です。
僕:「それじゃ早速入るぞ・・・」
キョウヤ:「ああ・・・」
僕:「よし」 キョウヤ:「さて」
僕&キョウヤ「先に行っていいぞ」
・・・・・・・(汗)
これ以上アホやってても仕方ないので、とりあえず向こうまで歩いてみました。
魔界に通じてそうな、不気味な雰囲気のトンネル内部。
夜中に一人で行く気にはちょっとなれないな。
そして240メートルほど歩き、魔の昭和吹上トンネルから出ました。
あたりを見回してみると、道路脇にこんなモノを発見。
なんともアホな落書きです。
わざわざネタの為にスプレー缶まで購入してぷしゅ~するとは。
と言いつつ僕たちも、わざわざネタの為にバイクでここまで来たんですが(汗)
トンネルの後にもしばらく廃道は続いています。
ここの廃道は旧成木街道。朽ち果てゆく廃道にも栄えていた頃の面影を見る事ができます。
もう誰も見る事のない道路標識。
ひっそりと山中にたたずむのみ。
旧道より昭和吹上トンネル側を見る。
・・・あれ、右側の獣道は何だ?どうやら上がっていくようだけど・・・
ハッ、これはもしや・・・!!
ここでまた説明しなければなりません。
今まで通ってきたのは昭和吹上トンネル。写真の通り、今では立派な旧道となっています。
しかし、実はここかつては新道と呼ばれていた時代がありました。
そうです、なんと、昭和吹上トンネルにもさらなる先代が存在するのです!
その名は明治33年(1900年)開通の旧旧トンネル(明治吹上トンネル)。
相当古いレンガ造りのトンネルで、昭和吹上トンネルよりヤバさは数段上との事。きっとかなり朽ち果てたおどろおどろしい姿を見せてくれる事でしょう。
というのも、今となっては廃屋になっている明治吹上トンネルの入口近くの居酒屋で過去に惨殺事件があったらしく、その霊が廃トンネルによく出るとの噂が絶えません。
1900年に開通となると・・・19世紀のトンネル。
まさかハーレーダビットソン社が創業される1903年より前だとは!
面白そうじゃん!行くぜ!!
ほとんど自然に還りつつある廃道(旧旧道)を登っていく。
昭和33年に昭和吹上トンネルが開通するまでは、沢山の人や自動車が行き交っていた街道だったのでしょう。
ひょっとすると、日本のアメリカンの大先輩である陸王も・・・
今ではタヌキが行き交ってそうな獣道からはまったくもって想像がつかない世界ですね。
で、なんで俺が先頭なんだキョウヤ?さっきからクモの巣がすごいんだけど・・・
「それはだな・・身長が高い貴様が通れば自動的に道ができるからだ!!」
ち、畜生このアホめ!覚えてろよー!
そして廃道は昭和吹上トンネルの上を通る形となります。
道の横が地すべりをおこしている・・・
廃道の幅は50cmほどしかありません。もちろん落ちたら地底へGo!です。
これがマンガだと丸い巨大な岩がごろごろ転がってきて、両手をバンザイしながら逃亡するところです(謎)。
そして更に進むと・・・・ついに出た!
明治吹上トンネル
何とも言えない雰囲気です・・・
廃止から既に40年以上経過しているだけに、いつ崩落してもおかしくありません。
自治体により立入禁止のフェンスが設けられたようですが、何者かによって破壊されています。
といっても、野郎2人のバカなノリでもはや心霊ムードのかけらもありません。
別に立入禁止とは書いてないので、何の躊躇もなく侵入する僕たち。
当然照明も無いので、懐中電灯は必須です。
レンガで造られた重厚なトンネル
途中から素掘りに変わります。しかしなんて硬そうな岩だ・・・・
約100年前、ツルハシで岩を砕いてこのトンネルを作っていた明治の先人の苦労がうかがえます。
長さはおよそ150メートルといったところでしょうか。
しばらく歩くとすんなり向こう側に出ました。
で、背後のトンネル側を振り返ると・・・
おぉう…怖ぇ。ちなみに真昼でもこの暗さ。
どこかに人の顔とか映りこんでいると更に盛り上がるんですが。
立入禁止のプレートのこげ跡が何となく人の顔に見えなくもない(と煽ってみる)。
で、ちょっと歩くと・・・ありましたありました。
当時は茶屋で、売り子たちが惨殺されたとの噂のある廃屋です。
主がいなくなって放置されている、寂しそうな家。
この後キョウヤがトイレを覗いてましたが、見てはいけないものを見てしまったとか。
話によれば、何かの幼虫が大量に・・・おっと、これくらいにしておこう。
さて、風通しの良い不動産物件も見たし、そろそろ下るか?
という事で歩き出す僕たち。
ここでもう1度トンネルを振り返る。
ん~やっぱ何か出そうだ。何かのダンジョンみたいですな。
入った途端にクッパ大魔王が襲ってきそうだ。
ん?右側に道らしきものがあるぞ、あれは・・・もしや!!
さて、ここでまた御覧の皆さん説明しなければなりません。
吹上峠には3つのトンネルがありましたね。
1993年開通の平成吹上トンネル。
1958年開通の昭和吹上トンネル。
1900年開通の明治吹上トンネル。
ここ吹上峠は古くからの街道で、実は写真の明治吹上トンネルが新道と呼ばれていた時期もあったのです。
つ・ま・り・・・・
さらなる旧道が存在するってコトダァァ!!!
『えーーーウッソーーーー!?(効果音)』
マジな話です(汗)。
平成吹上トンネルのある現道から言えば、実に4世代も前の道が残っている事になります。
この旧旧旧道が作られた時期は定かではありませんが、この成木街道が地方から江戸へ向かう大名行列が通っていた記録があることから、恐らく江戸の時代に作られたものでしょう。
さらに、ネット上の噂によれば幻の江戸吹上トンネルが存在するとかしないとか。
というわけで行くぜ!
手ごわいモンスターが出現するから、HP・MPを満タンにして出発だ!
「セーブポイントはどこだ!?」
獣道にはこんな印がついていた!
これも誰か通った痕跡なのだろうか。
そして、旧旧旧道は明治吹上トンネルの上を通る。
「マテリアはどこだ!?」
ここが旧旧旧道の最上地点。
トンネルなんてどこにも見当たりませんね。
つまり、江戸吹上トンネルはガセネタだったというわけです。チャンチャン★
しかし見てください、この見事なV字形の切り通し。
100年以上前に廃止されたこの旧旧旧道、最盛期は武士、農民、町民、貴族、大名行列が行き交ったのでしょう。
僕は博物館でスポットライトを浴びながら展示保護してあるショーケースの中の剥製にされたような文化財より、こういった”ひっそりと生きている”生々しいリアルな昔モノのほうが大好きです。
上の写真、今にも江戸の武士が向こうから現れそうな雰囲気が残ってますよね。その場に残る、当時のリアルな空気。多分これが旧道・廃道探索の醍醐味だったりするのです。
キョウヤ:「そんなことより、マテリアどこだ!?」
こ、このアホが・・・
ふと見れば奴はすぐ横の岩山によじ登っている。
「ここなら誰も見ていないな。さぁ俺を撮りやがれ!」
「It’s so WILDだぜ!」
くそっ、こんな奴に先を越されてたまるか!
「今度は俺のも撮れ!」
「It’s so COOLだぜ!」
今このツーレポを書きながら思った。
一体何やってたんだ俺達(汗)
(大体、なんで御意なんだ・・・)
ふと横を見れば、また印がつけられた植物がある。
林の奥へ奥へと誘うように、これが続いている。
気温34.7℃の中、山を登ったので汗だくだ。
「キリが無いから帰ろうぜ・・・」
キョウヤ:「オウヨッ!温泉でも行ってスッキリするぞ!」
30分後・・・
「全然見つからねーし・・・」
キョウヤ:「バイク用品屋でも行くか!」
30分後・・・
「全然アメリカンいねーし・・・」
よし、今日は登山で疲れたから、びっくりドンキーで巨大ハンバーグでも食おうぜ!
僕は巨大なチーズハンバーグ、キョウヤは巨大ハンバーグと怪しいドリングを注文していました。
水を飲んでしばし待つ。
ん?キョウヤの怪しいドリンクが来たようだ。
「びっくりコーラ」というやつらしい。どれどれ・・・
で、でっけーーーー!!!
何じゃこりゃーーーー!?
いくら何でもでかすぎる。隣の水が見えない・・・
Midnight Spirit 英会話教室
・What he is so Aho!!
(訳:彼はなんてアホなんだ!)
そして来たぜ来たぜ、俺の大型ハンバーグ!
ハンバーグだけで400グラムというジャンボ度。食べ応えは十二分!
男だったらこれでなきゃな!
今日のツーリングはこれでおしまい!
バイクで移動するのもいいけど、たまには登山していい汗かくのもいいぜ!
またいつか計画するか!登山ツーリング!
※今回は心霊ツーリングです