アメリカンバイクに乗ったら一度やってみたいことがあった。

それは、同じアメリカンバイク達との集団ツーリングだ。

子供の頃、家族でのドライブで入ったサービスエリア。
そこで目にしたのは、駐輪場でピカピカに輝くビッグバイクと楽しそうに話し込んでいるライダーたちの姿だった。彼らは高速道路で風を全身で受けながら集団で一体どこを目指しているんだろう?そんなに仲間たちとどこかへ行きたいのなら快適なミニバンで移動すればいいのに。そう、バイクに興味のない少年にとってまったく非合理的なその世界は、おそらく自分には一生関係のないものだと思っていた。

だがしかし、何かの間違いでバイク(それもアメリカンタイプ)に乗り始めてしまった以上、あの光景が再び脳裏をよぎるようになった。いや、もともと焼きついていたのかもしれない。ビッグバイクの傍らで少年のように楽しそうに話し込む、革ジャン姿のライダーたちの笑顔が。

そして今、あろうことか自分の手元にはピカピカのDSC4がある。
つまり、あとは仲間さえ集まればあのサービスエリアで見た集団ツーリングを実現できちゃう!
でもキョウヤはともかく、他に自分の周りに同じようなアメリカンバイクに乗っている仲間はいない。

「同じようなバイクでツーリングしている人はいないかな?」

早速Googleでドラッグスターで検索し始めてみたところ、やがてBikersBluesというバイクサイト(現在は閉鎖)にたどり着いた。BikersBluesはドラッグスター乗り達の集まるサイトで、交流掲示板ツーリングレポート、カスタムの紹介などのページがあり、僕は毎日食い入るように眺めていた。

掲示板で皆さんとカスタムやメンテナンスの話題などで交流するようになり、名前も覚えてもらえてきたある日。ついにその時はやってきた。
メンバーのshin5さんからツーリングの告知がされたのだ!

「やった!沢山のアメリカンバイクでツーリングに行けるぞ!」

さっそく光の速さで参加表明をし、前日の夜にはエンジンの冷却フィンの間にいたるまで洗車とワックス掛けを施した。部屋に戻った後はBORN TO BE WILDをエンドレスリピートで掛けながらツーリングマップルとにらめっこしながら明日のルートを頭に叩き込み始めた。それは道に迷った幹事さんのサポートのためというより「沢山のドラッグスターを先導してみたい!」という邪心によるものだったと正直に告白しておこう。

さて、いよいよBikersBluesのツーリング当日!

集合場所の東名高速東京インター入口のマ○ドナルドに着いたものの、早く着きすぎたせいかまだ誰もいないでやんの。仕方ないので窓際でビッグマックをムシャムシャほおばっていると、駐輪場に黒いドラッグスターが1台入ってきた。

「ついにBikersBluesのメンバーとリアルで対面か?一体誰だろう!?」

ドラッグスターから降りて歩き出したライダー。
ネット上では知り合っている間柄だけど、対面するのは初めてというこの謎のドキドキ感、バイクに乗りはじめたことで新しい世界の扉が今まさに開かれようとしているッ・・・・!!!と思ったら、ライダーはマックの従業員入口に吸い込まれていった(全然関係ない人でした)。

その後、やがてBikersBluesのメンバーが続々と集まってきた。

今回のメンバー:

  • Shin5幹事:RoadStar乗り。裏では腹黒いという噂のエリートサラリーマン
  • へかちさん:ハーレーFLSTF乗り。お笑い界で有名な自称エリートサラリーマン
  • hiroさん:DS4乗り。ヒゲ+チョッパーという歩くアメリケンスタイル
  • ayaさん:DS4乗り。今回初参加にもかかわらずレギュラーメンバー並みの溶け込み方
  • アツシさん:DSC4乗り。とにかく峠に入るとマシンのすばやさが17上がる
  • カッパさん:DS4乗り。全身ブラックのモビルスーツに身を包んだ姿はまさに史上最凶
  • Naoya Campbellさん:インテリジェントなDSC4乗り。帰国子女っぽいが真相は闇の中
  • たけやんさん:ショベルヘッド乗り。真冬になるとマシンが目覚めるのに最低45分掛かる
  • JUNさん:DS11乗り。仁義の名のもとに過去に始末した人間は数知れず、と言われている


ドラッグスターがいっぱい!ロードスターもいるぞ!こりゃあヤマハ発動機の社長もびっくりだ!

手前のマシンから順に:ayaさんの友達のゴリラ、ayaさんのDS4、shin5さんのロードスター、アツシさんのDSC、JUNさんのDS11、AkitoのDSC、どこぞのXJR(他人)。

今回は髭社長hiroさん(ハンドルスッキリチョッパーDS4)から全員に参加賞が配られました。


これは便利!ペットボトルクーラー。
この売名行為により社長の株価が一時的に上昇するが、数分後には元の水準に戻っていた。

後に商品代の法外な高額請求書が届く事に・・・

よし出発だ!と思いきや、hiro社長のマシーンに重大なトラブル発生!
なんと、スパトラマフラーがぐらぐらで外れそうだ!
( 実は以前、このマフラーは実際に脱落した経歴を持つ)

hiro社長:「あうあうあ~・・・ auauau」

もし今回も外れたら、プロ野球の応援メガホンでも着けて走るっきゃなかったですな。

そしていよいよ東名高速の東京ICから南下開始!ヘルメット越しに春風を感じつつ、大勢のドラッグスターたちが排気音を轟かせながら一路名古屋方面へ。

しかし・・・・でたよ渋滞。英語で言うとTraffic Jam。
だがそんなの関係ないもんね。そうだ、We are Biker!すり抜けが専門職みたいなもんだぜ!

11台のアメリカンですりぬけまくり、全機海老名SAに着陸。待ち疲れて「アルプス1万弱」をしていたNENZIさん(湘南仕様DS4)とParadox(レーシングモディファイDS4)さんと合流し、再び走り出す。

そして厚木ICで降り、R1から西湘バイパスへ。


西湘バイパス出口にて。

写真はNENZIさん。「鳥になりたい・・・俺はまだ跳べるんだ・・・」

そして箱根新道へGo!

ピカピカなビッグアメリカンが10台以上!
その中でもブラックはやはり圧倒的な人気を誇るカラーです。

この後箱根の山を登り、芦ノ湖を眼下に望みながらレストランで昼食。

Paradoxさん、残念ながらここでお別れ。

嗚呼Paradoxさん、風と共に去りぬ。

この後富士5湖周遊道路を通り、カッパさん(ぴかぴかスタッドDS4)お薦めの温泉に入りました。

あまりにもいい湯だったのでへかちさんが新党「帰りたくない党」を結成したものの、shin5幹事長の働きにより党解散に追い込まれた。

温泉駐車場にて。

思えば非日常へと続く高速道路から始まり、季節の息吹を感じさせてくれる郊外の自然、そして最後の締めに温泉と、まさにツーリングの王道フルコースそのものだった。

「大勢とのツーリングって楽しい!」

中央自動車道山中湖ICに入ってゆく先導メンバーの背中を見ながら、静かに新しい扉が開いたような錯覚を覚えた。

夜の闇を切り裂いて東京を目指す、沢山のヘッドライトたち。八王子が近づくにつれ、僕たちBikersBluesのメンバーはやがて渋滞に先を阻まれた。誰が先導したのかは定かではないが、緑の看板の示すサービスエリアに吸い込まれていった。

駐輪場でヘルメットを脱ぎ、ツーリングマップルを広げながらメンバーたちと今後のルートについて作戦会議が始まった。

そのとき、たまたま目が合った通りすがりの少年。
かつての自分がそこにいた。

ここはもう、新しい扉の向こう側。


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