前回までのあらすじ

高校時代からの悪友キョウヤ(BLACKHEART管理人)のところへ行くために、北関東を順調に走っていたAkitoのアドレスV125。しかし、走行中に駆動系から突如「ブチッ」という謎の破断音が響いた。続いてスロットルと関係なくレッドゾーンまで勝手に吹け上がるエンジン回転数と裏腹に失速してゆく車体。

「これはまさか…遂にアレが来たのか?」

作業をしやすいように歩道の縁石の上に持ち上げ、車載工具で駆動系のカバーを開けてみると…


Vベルト\(^o^)/オワタ

説明しよう、Vベルトとはエンジンパワーを後輪に伝えるもので、自転車でいえばチェーンのようなものであーる。つまりコイツが切れるといくらエンジンをふかしても後輪が回らないので走れない!

走れない!

つまり帰れない!

た、たすkて…心を入れ替える…!!

と普通はパニクるところですが、僕はメットインスペースからあるものをスッと取り出した。

それは、スペアのVベルト(新品)!
HaHaHa, こんなこともあろうかとツーリングの時は持ち歩いていたのです。2万km近く走ってるからいつ切れてもおかしくなかったとはいえ、こうして出番が来るとは俺天才。
というわけで、まずは切れたVベルトを摘出!


もう切れちゃってるので、プーリー(駆動部品)を外さずにすんなり取れました。

次にスペアのVベルトですが、輪ゴムのように全周が輪っか状に繋がっているのでプーリーを外す必要があります。というわけで、先日格安店で買った小型の17mmソケットレンチをプーリーナットにかけ、力一杯回したものの固くて回りません。

ここで春にクラッチOHした時に相当きつく締めたことを思い出し、レンチに足を乗せて全体重を掛けました。ふんぬッ!

グニャッ

「……!!!」

なんということでしょう…

レンチ\(^o^)/曲がった!
まさか工具が曲がるとは…

携帯性を重視して小さな安物を持ち歩いていたのが運の尽き。こうなってはもう作業ができません。工具屋かバイク屋を探しに行こうにも、立ち往生している場所が弩級の田舎でコンビニすら見つからない始末。

「仕方ない、アイツに来てもらおう」

分解作業で真っ黒になった手でiPhoneを取り出し、キョウヤに電話。30分ほどで工具を持って来てくれることになりましたが、さっきからとにかく暑い。いつの間にか雲の切れ間から顔を出した太陽が剥き出しの皮膚を焼き始めていますが、ルート66のように地平線が見えそうな現場には日陰なんてものはなし(あるとすればバイクの真下ぐらい)。水分を摂ろうにも自販機もなし。頭がボーっとしてきたけど、ヘルメットなんて余計熱中症になりそうで被りたくない。早く来てくれ〜

30分後…

ブロロロロロ!!

地平線の彼方から原付二種(新型アドレス110)に乗ったキョウヤが出現!相変わらず使い道のない細マッチョなガタイに、爽やかだが似合いもしない白ジャケット姿。

戦闘力は高い一方職質の常連だった傭兵ファッションはやめたとの事ですが、ちょっと残念かも。

「工具が曲がるって一体どうなってんだ…まぁこれでも使いな!」

キョウヤから手渡されたメガネレンチでスペアのVベルトを組み付け、アドレスが復活!


その後は一緒に怪しい台湾料理屋で死ぬほど昼メシを食べたり、キョウヤのアドレス110のヘッドライトバルブを怪しい中華製LEDに換えたりと、まるでよく一緒に走ってた学生時代の頃のような時間を過ごしました。

いよいよ昔を懐かしむようになった、33歳のおっさんAkitoの夏。

だらしなくなった体型も昔に戻すべく、筋トレでもするか…