日本のバイクメーカーの2大巨頭であり、昔からシェア争いを繰り広げてきたホンダとヤマハ。
NSRとTZR、DIOとJOG、CBとXJR、FTRとTW、フォルツァとマジェスティ、そしてシャドウとドラッグスターなど、様々なジャンルにわたってこの2社は火花を散らしてきました。

優等生のホンダ、おしゃれなヤマハといわれるこの2社は良きライバル関係だったのですが、先日50cc(第1種原動機付自転車。いわゆるミニバイク)のスクーターの開発・生産の分野で提携することになりました。
具体的には、2018年をメドにホンダ生産の50ccスクーターがヤマハへOEM供給され、ヤマハブランドとしても発売されるというもの。今後はタクトがJOGに、ジョルノがビーノに、そしてベンリィがGEARになるという感じです。そして、ヤマハ自身による開発・生産は今後なくなるという。
バイクの中で一番小さな50ccというカテゴリーは、言うまでもなく日本独自のガラパゴス企画。原動機付自転車という別名の通り、もともとは自転車に簡易的なエンジンを取り付けたものがルーツで、コンパクトで気軽な生活の足として日本に根付いていました。

しかし、PTAによる3ない運動(免許を取らせない、バイクを乗らせない、買わせない)の展開や、若者の所得減少、そして路上駐車取締りの厳格化などの影響でバイクの販売台数はかつてのピーク時の2割に激減。特に、生活の足である50ccは近年は軽自動車や電動アシスト自転車との競合にさらされ、また海外で稼ぐというリカバリーも国内専用規格のため不可能。

新型車の開発には膨大な費用がかかるのですが、業界2位のヤマハはそれを販売で回収しきれない(つまり売れば売るほど赤字)という状況です。しかし、普通自動車免許でも乗れる50ccバイクは同社の幅広いラインナップへの貴重な入り口でもあり、このカテゴリーからの撤退はありえない。

というわけで、業界1位であり何とか黒字を維持していたホンダに50ccスクーターの提供を依頼したとのことです。
同じようなことは自動車の世界もあります。

ご存知の通り、日本独自のガラパゴス規格である軽自動車(660cc)。カテゴリーシェア最下位だったスバルは2012年に撤退し、ライバルのダイハツからのOEM供給に切り替えました。マツダも1998年な撤退し、その後は全てスズキからのOEM供給。また最近参入したトヨタ自動車の軽自動車も全てダイハツからのOEM供給ですし、スズキのエブリィ/キャリイは日産自動車、三菱自動車、マツダの3社にOEM供給されているほどです。
ガラパゴスな国内専用カテゴリーでの生き残りを死守するめ、このように各社が生き残りを賭けて奔走している状態ですが、Akitoとしてはこれらのカテゴリーそのものが見直しの時期に差し掛かっている気がします。メーカー側の開発費の問題だけでなく、30km/h規制や二段階右折で交通の妨げになりやすい50ccの原付免許は欧州/アジア向けミニバイクの125ccまで上限を引き上げていいと思うし、快適装備の充実で車重が重くなる一方の軽自動車は660ccからアジア向けと同等の800ccにするべきと考えます。

グローバル展開をしているメーカーや、ユーザーの使用実態に合わない古くからのガラパゴス規格が、色んなところで足を引っ張って気がしてならない。まさに誰得な状況だと思うのです。