そんなわけで、キャブが派手にオーバーフローしながらも何とか帰還してきた我がセローちゃん。

今までオーバーフローを直した経験は無かったのですが、ネットでググッてみるとフロートバルブがイカレた事がよくある原因らしいです。通常はスロットル開時など油面が下がるタイミングでガソリンをフロート室に受け入れる役割があるのですが、何らかの原因でこれが開いたままで固定されるとガソリンのフロート室への流入を止められなくなり、やがて溢れ出てくる(=オーバーフロー)とのこと。

特にセロー250(2005年式~2008年式のキャブレター車)はフューエルポンプレスの自然滴下式のため、ガソリンコックをOFFにしない限りはエンジンが止まっていてもガソリンがフロートバルブ直前まで供給され続ける仕様なので、今回はここがイカレたことでオーバーフローが止まらなかったと考えると合点がいきます。

フロートバルブは経年劣化によって破損することは珍しくなく、我がセローちゃんも2005年式で4万kmオーバーのため、さっそく近所のYSPでフロートバルブを注文!

いや~YSP殿、いつも部品注文窓口として使っているだけで申し訳ない。自分で修理できない箇所が出たら真っ先に依頼したいんですが、セローちゃんはシンプルで直しやすい構造がゆえに自分で何とかなっちゃうんです。近くにあったバイク用品屋で注文したいとこだけど2店とも撤退しちゃったし。

そんなこんなで、早速キャブを外してフロート室を開けてみます。それにしても、ここはナメやすいのにどうしてプラスねじか使われてるんだろ。前に乗ってたドラッグスターもそうだったけど、6角(HEX)ボルトにできない理由でもあるんかな。

どうやらフロートは問題ない様子です。まるでトイレのタンク内にあるフロートのように、油面の上昇と共にプカプカ浮いてフロートバルブを締める(=ガソリンの供給を止める)という仕組み。大昔からの構造だけどホントよく考えられてるなぁ。

次に、フロートバルブの動作軌跡の回転軸となっているフロートピンを抜きます。ピンポンチとハンマーが要りますが、ピンポンチが無いので100均の精密ドライバーで代用。テーパー形状のフロートピンを太い方からコンコンと叩くことで抜けます。

フロートがピンと共に外れたので、フロートバルブを見てみます。画像中央の一番下の真鍮部品の奥から供給されるガソリンを、フロートの動きと連動するフロートバルブが制御する仕組みです。

フロートバルブの新旧比較。

あれ?意外と問題ないっぽいぞ。オーバーフローを起こすキャブはこれがオシャカになっている事が多いらしいですが…

一方、真鍮部品の奥を覗くと茶色い錆らしき汚れが着いていました。どうせこの部品も新品に交換するので工具で抜いてみます。

うげっ…錆がビッシリ!

真鍮部品の裏側に着いていたフィルターにたくさん引っ掛かっていますが、結構な量がフロート室側に透過してしまってる様子。そういえばフロートバルブ周辺だけでなくフロート室の蓋の裏側にも錆の粉末が着いていたっけ。フロートバルブの動きを邪魔していた犯人はこいつだな。

というわけで、パーツクリーナーで念入りに錆を吹き飛ばしてから元通りに組み付けました。それからはオーバーフローはまったく起きず、すこぶる快調なセローちゃん。

錆はガソリンタンクから流入してきたのでしょうが、考えられる要因はこの夏に2ヶ月以上放置していたこと。一応キャブのガソリンを抜いてバイクカバーを掛けて保管していましたが、ガソリンタンクを満タンにしていなかったことで空気層に結露(=錆)が発生してしまったのでしょう。

そんなわけでキャブが直ったセローちゃんですが、やはり手を尽くしただけ愛車が元気になってくのは単純に嬉しいし愛着が湧きますね。今回は久々に弄って楽しかった事もあり、この勢いで他にもメンテやカスタムしてやろーじゃないの!と更にバラし始めることに…

(微妙につづく)