カスタムの本質とは、相対的な変化…それは子供の頃に「ねるねるね~るね」で練れば練るほど色が変わるのをワクワクしながら楽しんだように、

いわゆるビフォーアフターの変化を楽しむことでしょうか。

移動手段であるバイクやクルマというものは、本来はただまともに動けば良いもので、変化させることに興味がない大多数のオーナーの元ではカスタムなどされずに無難に生涯を終えます。一方、ただ走ることだけでなく変化も楽しむたいオーナーの元ではさまざまな手が加えられ、やがて唯一無二の姿へと進化を遂げます。

Akitoは昔から他人と横並びなのが嫌いな性格で、何かしら手を加えて面白くする事が好きな子供でした。小五の理科の授業でモーターカーを作った時はコイル2倍巻き&軸受け注油とあやしいチューンをし、教室の壁に向かってロケットスタートかましてバラバラになってしまったりとアホな事ばかりしていました。

18歳の時に初めて買ったオートバイ・ドラッグスタークラシック400もいじり倒しましたが、その中でもフルタイムVブーストの導入で動力性能のの変化を全身で体感した悦びが忘れられず、その後のバイクやクルマにも何かしらエンジンを弄ってきました。

今の愛車のセロー250は元々まったり走るトレッキングバイクという性格ですが、排ガス規制への適合や万人向けという設計思想でマイルドにされたエンジン特性、そして郊外での70~80km/h巡航が多いAkitoの使い方から考えるに少し物足りない状態でした。

一瞬WR250Rへの乗り換えも考えましたが、あちらはハイパワーであれど硬派すぎてパニアケースやウインドスクリーンを装備してアドベンチャー的には楽しめない…。という事でセローの動力性能アップを試行錯誤していたところ、先日進角チューンで明らかに高回転が伸びようになり、セローのシンプルな空冷SOHC2バルブシングルエンジンの伸び代を確信しました。

セロー250はエンジンチューンの事例がほぼ皆無のため全く弄れないと思われがちですが、よく調べたところ良い方法が見つかりました。加工工場を手配し、パーツも海外から手に入れ、いざ準備万端となったところでいよいよ作業開始!

タンク、シュラウド、サイドカバー、シート、マフラーを外し、エンジンにアクセスできるようにします。次に組み上がる頃は全く違う乗り味のセローになっていることでしょう。

次にスパークプラグを外します。

ブリスクのBR14ZC、いい焼け色です。ウオタニSP2イグニッションコイルとの組み合わせでいい感じに低速トルクを叩き出していましたが、エンジン内部にも手を入れると一体どうなるのか。

左側クランクケースカバーのキャップを空け、内部のクランクボルトに14mmソケットレンチをはめます。上の小さな窓から「Ⅰ」のマークが見える位置までクランクを回し、ピストンを上死点位置にします。

シリンダーヘッドのカムカバーを外し、17mmのレンチでカムスプロケットボルトを緩めます。インパクトレンチがない場合、クランクが共回りしないように先ほどのクランクボルトを14mmソケットで固定したまま緩めましょう。

すると、カムスプロケットとタイミングチェーンが出てきます。タイミングチェーンはシリンダー後方にあるオートテンショナーによって張力をもたせた状態のため、それも外してタイミングチェーンをだらりとさせておきます。

そしてカムスプロケットがようやく外れました。タイミングチェーンはそのままではクランクケース内に落下して取り出せなくなるため、そうならないよう針金で上から吊っておきます。

さーて、次回もどんどんバラしていくぜ!